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2022年12月21日
探偵豆知識

離婚届不受理申出制度について

離婚届不受理申出制度とは、無断の離婚届を提出されて勝手に離婚されることを防止するための制度です。

離婚届を提出する役所では、夫婦の本当に離婚するかの意思確認や離婚届の審査は行っていないのが事実です。
もちろん本人が記入したかどうかの筆跡鑑定などもなく、離婚届の捺印も認印でも可能になります。
つまり、記入漏れや離婚届の書類が間違っていなければ、配偶者に黙って勝手に離婚することが可能です。

しかし、離婚届不受理の申出を行っておけば、勝手に離婚届を提出され離婚される心配がなくなります。

不受理申出は、平成20年5月1日前まで受理後6ヶ月間しか有効とされていませんでしたが、以降では本人から取り下げ要求が無い場合、原則として無期限有効となりました。

そのため、離婚協議後、正式に離婚する場合は、不受理申出を取り下げる必要があります。

この離婚届が勝手に提出されてしまうトラブルで良くあるのが、

・離婚調停期間中に話がまとまっていないのにも関わらず、勝手に離婚届を提出されたしまった

・子供の親権争いをしている途中で、勝手に離婚届を出されて親権を奪われてしまった

・夫婦喧嘩がヒートアップして、旦那が離婚届を出しに行くと言って話を聞かない

・浮気をしている旦那が一方的に離婚届を出そうとしている

などがあげられます。

こういったトラブルにならないように前もって、不受理申出を行っておく必要があります。

しかし、不受理届申出を行う前に、勝手に提出されてしまったなんてことがあるかもしれません。

勝手に離婚届を出された場合

離婚届を1人で提出した場合、役所は本人確認ができなかった相手に対して離婚届が提出されたことや離婚が成立したことを伝える受理通知を送付する規定があります。

この通知が届くまでには、役所によっても違いますが早いところで3~4日、遅くて2週間程かかる様です。
そのため、万が一勝手に離婚届を出された場合にも、離婚届を出されたことを通知を受けて知ることができます。
なお、離婚届が受理されたからといって、合意のない離婚届の提出がもちろん有効になるわけではありません。

万が一、離婚届が勝手に提出されて離婚したとされてしまった場合には、離婚無効調停・裁判を提起し、離婚が無効であると判決を得る必要があります。

よほどのことがない限りは、無効と認められないことはありません。

また、勝手に離婚届を提出する行為は、『有印私文書偽造罪』や『有印私文書行使罪』、『公正証書原本不実記載罪』にあたります。

離婚届は、一度受理されてしまうと役所は戸籍の訂正を簡単には行ってくれません。

そのため、少しでも勝手に出されるかもしれないと感じたら、あらかじめ不受理申出を出しておくことに越したことはありません。

離婚届不受理申出の申請方法

離婚届不受理申出は、原則として本人が行う必要があります。

自分の住んでいる市町村区役所で離婚届不受理申出の用紙をもらうか、役所のホームページからダウンロードすることができます。

提出する役所は、原則本籍地記載の役所ですが、本籍地外の役所でも認められます。

本籍地以外で提出された用紙も、本籍地へと送られるためどこの役所でも可能という訳です。

そのため、いち早く不受理申出を行いたい場合は、本籍地の役所に提出するのが最も早く行うことができます。

用紙を漏れなく記入し終えたら、運転免許証などの本人確認書類と印鑑を持って役所に提出しに行きましょう。

ちなみに離婚届不受理申出書は、すぐに記入できる内容なので役所に書類を貰いに行くと同時に書くと一番効率が良いかもしれません。

離婚届不受理申出の取り下げ方法

申出を行った本人が、提出した役所に行き、不受理申出の取り下げ申請を行います。

その際は、再度本人確認書類と印鑑が必要なので忘れないようにしましょう。

不受理申出を取り下げない限り、離婚届が認められることがないので注意してください。

まとめ

パートナーと離婚の話になった場合、相手によって態度は様々です。

時には、無理やりにも離婚に応じさせようと、かなり強気な態度で来るパートナーもいるでしょう。

協議がまとまっていないにも関わらず、強行してくるような相手には、自分が納得しない限り離婚に合意する必要はありません。

ただし、強気な相手は、勝手に離婚届を出してしまう可能性もあり、戸籍が一度変更されてしまうと裁判所での手続きが必要になってしまいます。

そうすると、離婚の話し合いで大変な時期に、さらに無駄な労力がかかり余計に疲れてしまいます。
パートナーの性格は、長年一緒にいた自分が理解しているはずなので、少しでも不安を感じるのであれば迷わず離婚届不受理申出をしておきましょう。

お互いの合意と納得があってこそ、本当の離婚と言えるでしょう。