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2023年1月12日
探偵豆知識

共同親権とは?日本への導入は?

共同親権とは、その名前の通り、父母がともに子どもに対して親権を持つ制度のことです。

婚姻中はもちろん共同親権ですが、現状日本では、離婚をする際、夫婦どちらかの単独親権になっています。

離婚後、単独親権と定められているのは、離婚後も共同親権が続くと子どもが対立している父、母の間で板挟みとなってしまい、不利益をこうむるのを防ぐのが目的です。

しかし離婚後の共同親権は、欧米では多く導入されており、世界的には珍しいものではないのです。

昨年日本でも離婚後の共同親権の制度導入について動きがあり、現在検討がなされています。

子供の連れ去りや、親権争いが数多く問題になっている中、共同親権が導入された場合、どうなるのか解説していきたいと思います。

そもそも親権の内容とは?

・子どもに対する監護と教育の権利義務(民法820条)
子どもの利益のために一緒に住み、養育し教育を受けさせる権利と義務。
・居所指定権(民法821条)
子どもの住む場所を指定する権利。

・職業許可権(民法823条)
子どもが働くことを許可する権利。

・財産の管理権と代理権(民法824条)
子ども名義の財産を管理することやその他の法律行為を代理し同意する権利。

つまり親権とは、上記のことを行うことができる権利になります。

共同親権は、夫婦の両方が権利を持ち、行使します。
しかし、離婚後の単独親権になると、上記の親権がどちらか一方の親にしか認められなくなります。

離婚後も両方の親に親権を認めようというのが現在日本で検討されている共同親権への法改正の内容になります。

では共同親権が認められるどうなるのでしょうか?

共同親権が導入されると、離婚後も父母共に子どもの財産の管理行うことができ、子どもの教育内容や仕事の許可、子供に代わって法律行為の代理等を行うことが可能になります。

つまり今の日本の制度では、親権者になれなかった一方の親は、その後一切子どもの教育や子どもの財産管理、子どもと気軽に会うことができなくなってしまうのです。

共同親権になった場合、子どもと一緒に住む権利はどうなるのか?

婚姻中も離婚後も共同親権になるのであれば、子どもと一緒に住むのはどうなるのかと疑問が出て来るでしょう。

もちろん、離婚後共同親権となっても、子どもと一緒に住めるのはどちらか一方の親になります。

これは、共同親権を導入している欧米諸国でも同様になります。

では、何が変わるのかと言うと、面会交流や連絡の頻度になります。

子どもは、父、母の家に行き来して過ごしたり、連絡を気軽に取り合うことができるようになります。

日本でも、もちろん面会交流権はありますが、親権者が面会を一方的に遮断してしまうケースも珍しくありません。

共同親権のメリット

子どもが両方の親に会うことができる
先にも述べましたが、日本では離婚後、親権者のない親と面会が行われないケースがあります。
例え子どもが会いたいと思っていたとしても、親権のもつ親が拒んでしまえば難しいのです。
しかし、共同親権であればどちらの親にも子どもを監護教育する権利があるため、同居親が一方的に面会交流を断ることはできません。

子どもがたとえ、両親が離婚していたとしてもどちらか片方のみの愛を受け取るのではなく、両親2人から愛されていると実感することができます。

親権トラブルを回避できる

日本では、父親が親権を獲得しずらいなど様々な問題を抱えています。

そのため、離婚時に親権で争う事例が数多くあります。

親権があるのとないとでは、今まで述べてきた通り、子どもに関われる時間が天と地の差があるため、裁判など熾烈な親権争いへと発展してしまいます。
大きく争った二人ですから親権が決まった後も互いに不満を抱えたままになることが多いです。

お互い不満が残った状態であれば、面会交流や養育費の支払いで再度問題となることが想像がつくと思います。

しかし共同親権が認められるようになれば、元夫婦が協力して子どもの養育に携わっていくことが可能になるでしょう。

養育費が支払われやすい

親権を得られなかった親からすれば、子どものためにという気持ちより、いがみ合った相手にお金を渡している感覚になってしまいがちです。
しかし、共同親権であれば、子どもと関わることができるため、子どものためのお金だとしっかりと認識して養育費の支払いを行うことができます。

共同親権のデメリット

いままでの話を聞いていると共同親権っていいことじゃないかと思うかもしれませんが、もちろんデメリットも存在します。

子どもの教育方針が異なる

共同親権だからと言って、離婚していることには違いがありません。

つまり子どものことについて何かを決める際に、もめごとが付きものになる可能性があるのは想像がつくかと思います。

その都度、お互いが納得できる話合いをしていく必要が出てきます。

子どもが気を遣う

両親の家を行き来することができる子どもにとって、もっとママといたいでしょやパパといたいでしょと言われた場合、どちらの両親の家にいればいいのか分からなくなってしまいます。

結局は、両親の気持ちの板挟みとなってしまい、子どもの気持ちが疎かになってしまう可能性があるのです。

子どもの環境の変化

両方の家を行き来することでなかなか自分の居場所を確立できない場合もあります。

二つの家を行き来することが増えるので、落ち着いて生活が送れないと感じてしまう子どももいます。

そういった環境の変化が何度もあると心身ともに疲れてしまいます。

まとめ

共同親権が導入されれば、離婚時に親権について争うことがなくなる。

しかし、子どもの教育方針や決め事を行う際、争い事が増える事も。

メリットもデメリットも存在している。